建売方式の分譲住宅が危ない?

建売住宅、特にミニ開発の分譲住宅は手抜き工事などトラブルや危険の宝庫です。そこには、消費者をなおざりにした、住宅供給者側の勝手な都合が存在しているのです。

1に見栄え、2に構造

建売住宅を販売するディベロッパーにとって、住宅は単なる商品でしかありません。決められた価格のなかで、装備品をできる限り多く、設備機器のグレードを高く、そして内外装仕上げをできる限りよくすることが重視されます。建売住宅を販売する不動産ディベロッパーが、その販売戦略の第一位の優先順位に構造の安全性を挙げることはまずありません。売れる商品の条件は、立地条件がよいことや、住居表示名称のブランドによるものなど、土地の所在地、近隣環境などによって左右される土地の価値と、そうした装備品などのグレードによります。

お客さんのほうも、シックハウス対策は万全、アフターサービス体制も充実してますから、ちょっとした不具合でもすぐ対応しますなど、営業マンが殺し文句を並べていけば、たいていは装備の充実度から内外装の見てくれを云々するのみ。後は価格の問題だけで、ローンが通るか、月々の支払いはいくらかという具合に買うモードになっていきます。


ディベロッパーはお客さんの歓心を買うために、今流行りの便利グッズを、分譲住宅にこれでもかとばかりに詰め込みます。もちろん、このようにしなければいつまでたっても売れない、売れ残りの新古物件になってしまいます。そうなれば思い切って価格を下げざるを得なくなります。よほど立地条件でもよくなければ、装備の豪華さで売らなければ割安感は出てきません。当然ながら建築費も高額になります。しかし、売値は決まっています。 つまり、そのしわ寄せは、建物の骨組みにきます。極論を言えば、建物を建てる際に役所に提出する確認申請に通る程度の内容、最低限度の構造基準を満たしたものになります。とはいっても、度重なる地震、台風の度にその構造基準が強化されていっており、過去に基準を満たしていても、現在は基準を満たしていない物件も多いことを考えると、これでも優秀といえる気がしますが、、、

たまに、建物の構造体の耐久性、耐震性、耐火性について質問をしてくるお客さんもいますが、その場合、仕上げ材に隠されて見えない部分であるのをよいことに、営業マンは、当社の一級建築士が設計して、技術力のあるスタッフが監督し、腕のよい職人によってつくられていますから安心して下さいと、適当に答えます。たいていのお客さんはこれで納得してしまいます。



旧住宅金融公庫融資の住宅なら安心?

住宅金融公庫融資とは、低金利・長期返済などの有利な条件で国が住宅資金を消費者に融資する制度です。このような優遇措置を設けている関係もあって、建物に一定の基準を設定しています。このことから、公庫融資の対象になる物件は優秀で安全な建物だという評価を得るようになりました。

売建方式や建築条件付き分譲住宅の場合の「融資利用可」というのも同様です。融資を利用できる購入者であれば、基準に基づいた設計と施工の住宅を手に入れることができるわけで、購入する際の1つの目安と考えることができます。

もっとも、公庫融資とうたわれていなくても、安全性や耐久性などの基準が明確にされおり、現行の建築基準法や条例などをきちんと満たした住宅であれば、十分に同等の水準を保っているということができます。