日本の分譲住宅などの住宅はなぜ寿命が短いか

日本の住宅は寿命が短いということは、国内の住宅雑誌の統計などでもたびたび取り上げられています。また、海外からも指摘されているため、今日では日本人の誰もが知るところとなりました。
その原因をいくつか考えてみると

①日本人は定住型の国民性であるためか、住み替えを好まず、家族のライフサイクルと間取りが合わなくなれば、建て替えを選択する傾向があります。また、何か不都合があれば建て替えてしまえばいいというふうに、長期的なものの見方で家を考えていない傾向が無きにしも非ずです。

②欧米に比べてあまりよいとはいえない住宅環境。なかでも商・工・住の混在する都会に建つ住宅は、隣地との幅も狭く、通り抜けることすら難しい敷地状況のなかに、家の付属品であるエアコンの室外機、ガス湯沸器、スチール物置、物干し台、植木鉢などがひしめき、ブロック塀に囲われてしまっています。これらは、住宅を長持ちさせるために特に必要とされる風通りを妨げる障害になりがちです。また、防火のためにモルタルを外壁に塗りますが、風通しを考慮した設計がきちんとなされていないと、内壁が蒸れ、内部の木材を腐敗させやすい状態にしてしまいます。

③簡単なメンテナンスすら自分でできない住まい手。現代の日本人のほとんどができないといっても過言でないでしょう。これには、家の手入れや簡単な修理を教えるところがない、トレーニングをする施設がないなどの理由が考えられます。住宅の寿命が短いと、多くの木材資源が使われ、地球資源の無駄使いになり、建物を取り壊した建築廃材が最も多いわが国の産業廃棄物は、環境破壊の元凶として社会問題となっています。
また、そうした家の作り方では、住む人が一生ローンに追われるような生活になってしまいます。現に、住宅を取得するほとんどの人が住宅ローンを利用しており、25~35年と長期間にわたって支払い続けています。やっと、ローンを完済した頃には、その家はリフォームをしなければならない状態になっています。そして、そのリフォームのローンが終わる頃には、今度は建て替えを計画せざるを得ない状態になっているのです。

200年住宅

こうした平均したら30年に1回家を建てるという状況に政府はなにもしていないわけではなく、200年住宅という構想を打ち立てています。所管は、国土交通省で、2007年の福田内閣のときに提唱されました。公式的には、200年住宅という表現が具体的過ぎるので、長期優良住宅の普及の促進などという言葉が使われています。200年という数字ではなく、家を大切にしていきましょうという発想で捉えた方が正確なのかもしれません。